解 体 新 書
   
 ドイツ人医師クレムスの「解剖図譜」のオランダ語訳「ターヘルアナトミア」を翻訳した医学書で、安永3年(1774年)に出版された。この出版は単に医学にとどまらず、文化史上においても画期的な出来事であった。これによって蘭学が始まったがその事情は杉田玄白(1733-1817)の「蘭学事始」に詳しい。
 翻訳には前野良沢(1723-1803)が中心になり、杉田玄白、中川淳庵(1739-1786)、桂川甫周(1751-1809)ら数人が参加したが、解体新書に前野良沢の名前が無い。本書は本文が四冊、序文・凡例・付図で一冊の合計五冊からなる。付図は秋田藩士小田野直武(1749-1780)が描いた。
 小田野は秋田藩角館の人で安永2年(1773年)に秋田に来た平賀源内から初めて洋画の手ほどきを受け、数ヶ月後に上京した。このとき杉田玄白から解体新書の付図の制作を頼まれた。小田野は洋画史においても秋田蘭画の開拓者の一人として名をとどめている。
(図録日本医事文化史料集成 第2巻より)
   
        
解体新書 序編

解体新書 巻之一

解体新書 巻之二

解体新書 巻之三

解体新書 巻之四
−東北大学附属図書館医学分館所蔵−        
   
貴重資料室    医学分館